
知らなきゃ損するマネー&ほけん講座「津波てんでんこ」という言い伝えが、岩手県の三陸海岸地域にあるそうです。「てんでんこ」は「各自」「めいめい」を意味し、「津波が来たら、取る物も取りあえず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに1人で高台に逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という意味です。その際、自分自身は助かり、他人を助けられなかったとしても自らを責めない、又それを非難されないようにするための救いの言葉でもあります。
昨年の東日本大震災においては、地震そのものの大きさもさることながら、巨大な津波が発生し、結果未曾有の大災害となりました。このような事態において、その備えとしてある地震保険は今回どのような役割を果たせたのでしょうか?
昨年の6月に発表された内閣府の推計によると、被害総額は建物、ライフライン施設、社会基盤施設など併せて16兆9千億円となっています。阪神淡路大震災の時が9兆6千億円でしたので、今回の被害がいかに大きかったかがわかります。
その被害に対して、損害保険会社における家計地震保険の対応はといいますと、2011年10月12日時点において、事故受付件数81万6,185件、保険金支払件数70万2789件、支払保険金は1兆1,625億円となっています。被災地における地震保険の世帯加入率は、岩手県では13.2%、宮城県33.6%、福島県14.6%と決して高いとは言えない数字でした。従って、約17兆円の被害に対して地震保険でカバーできたのは約1兆円2千億円にとどまっていますが、事故受付件数の約86%が保険金支払対象に認定されたことになります。
損害保険業界の対応もすばやく、窓口や調査に関する各社の協力体制が作られ、保険金請求手続きも簡素化されました。認定後の保険金支払いも早かったです。
新潟地震を契機に、昭和41年に創設された家計地震保険ですが、加入には一定の限度が設けられています。通常は火災保険金額の30~50%の範囲で付保することができ、更に建物は5千万円、家財は1千万円という上限が設けられ、100%の補償は付保できない商品です。しかし、万が一被災者になった場合には、建物や家財を元通りにする以前に降りかかってくる様々な費用があることを、今回の震災で体験された方は多かったのではないでしょうか?
地震保険法によると、地震保険は「地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする」とされており、もとより家の建て替えや家財の再購入のための保険とは記されていません。家や家財を失い、家族を亡くし、失業した状態から少しでも早く脱し、生活を安定させるための当座の資金をまかなうこと、これが地震保険の役割なのです。
今もなお揺れ続ける日本に住む限り、地震に対する対策や備えはしっかり考えて準備すべきでしょう。
| 所属会社 | 有限会社TIC |
|---|---|
| 資格 | CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、日商簿記2級、証券外務員資格、トータルライフコンサルタント、損害保険特級資格 |
| 経歴 | 代理店業務のほか、金融機関、各地商工会議所・法人会などでの講演、資格取得講座での講師、大学ではFPや保険についての授業を担当しています。主な著書は、「日経 金融商品の選び方」「ライフプランがあなたの資産を殖やす」(日本経済新聞社)、「夫婦で考える保険」(ビジネス教育出版社)「知って得するマネーの常識」ブレーン「やさしい経済学」(NTT出版)、「FPの知恵袋」(ビーケイシー)、その他、新聞・雑誌への寄稿多数。 |
| 趣味 | バンドのヴォーカル |
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