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【マネー知識】インフレとデフレ、お金の価値はどう変わる?

映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」は、1964年という年を舞台として描かれた物語です。東海道新幹線が開業し、東京オリンピックがアジアで初めて開催され、日本中が沸き立っていた頃です。当時、私は小学生でした。オリンピックの開会式があった1010日は、ぬけるような青空だったことを今でも鮮明に覚えています。

更新日:2012年03月12日

 日本は高度経済成長期の真っ只中で、実質GDPの伸び率が年平均10%であった頃です。この年の物価水準は、喫茶店のコーヒーが70円~80円、白米10キロ1,110円、ビール大ビン1115円、開通したばかりの新幹線は東京~大阪で2,480円、タクシー初乗り運賃は100円、国公立大学の学費は年額12,000円、大学新卒初任給の平均が21,190円でした。この時すでに、10年前の1.5倍くらいになっていました。

 

 その後も物価水準はどんどん上がり、10年後、大学を卒業して就職し初めてもらった初任給は8万円になっていました。不動産も「買えば上がる」のが常識でしたから、借金をして家を買う(ローンを組んで家を買う)ことに、誰も何の疑問も持ちませんでした。

 

日本はこのような高度経済成長期を経験し、その後、空前の好景気を迎えましたが、その"バブル経済"はある時期に崩壊、終焉しました。その後1990年代以後はデフレが進行し、一時的な景気回復はありましたが、「失われた10年」を経て、今もなおずっとデフレ状態が続き慢性化しています。

 

インフレは「モノの価格が上がっていく状態」、デフレは「モノの価格が下がっていく状態」です。 低価格の商品が出回ることは消費者にとってはありがたいことかもしれません。安くモノが買えることによって、実質的生活水準は向上します。"お金(現金)の価値"も高くなります。

 

 しかし、日本の経済にとってはどうでしょうか?

物価が下がると企業の売り上げが減り、そこで働く人達の賃金や雇用も悪化し、その結果消費も落ち込みます。税収も減ります。このように、デフレによって経済はどんどん縮小していきます。デフレがさらなるデフレを呼び込み、このような循環を繰り返すと「デフレスパイラル」になる懸念もあります。

 

 デフレ脱却を目指す日本は、その強い意志を示すため、先月、日銀の白川総裁が「当面、消費者物価指数で前年比1%の上昇を目指す」「そのために10兆円規模の金融緩和政策を実行する」ことを発表しました。このように日銀がデフレ脱却のための「インフレ目標」を宣言したことは注目すべきできごとです。

 

 今後、日本がもしデフレからインフレに転換した場合、物価は上昇していきますので、当然のことながら現金の価値は下がります。企業の売り上げが伸びて景気がよくなり、賃金が上がって収入が増える人達はいいかもしれませんが、収入が増えない人にとっては生活が苦しくなるかもしれません。預貯金の実質目減りもあるかもしれません。

 

 先のことはわかりませんが、大事なことはインフレ・デフレによってお金の価値が変わることを頭のどこかにしっかりとどめておくことです。特に、老後の資金など、将来のお金の準備においては、お金の価値が変わってしまうかもしれないインフレに対する備えが必要でしょう。

 

加藤 恵子(カトウ ケイコ)

加藤 恵子
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所属会社 有限会社TIC
資格 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、日商簿記2級、証券外務員資格、トータルライフコンサルタント、損害保険特級資格
経歴 代理店業務のほか、金融機関、各地商工会議所・法人会などでの講演、資格取得講座での講師、大学ではFPや保険についての授業を担当しています。主な著書は、「日経 金融商品の選び方」「ライフプランがあなたの資産を殖やす」(日本経済新聞社)、「夫婦で考える保険」(ビジネス教育出版社)「知って得するマネーの常識」ブレーン「やさしい経済学」(NTT出版)、「FPの知恵袋」(ビーケイシー)、その他、新聞・雑誌への寄稿多数。
趣味 バンドのヴォーカル
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